大谷離脱のピンチは一世一代の大チャンス

2月3日、小久保監督から大谷の離脱が正式に発表された。

離脱が発表されるまでの3日間、NPB日本ハムで言った言わないのひと悶着があったが、もう過ぎたことは仕方ない。いつまでも大谷の離脱で悲しんでいる暇はないだろう。小久保監督はチームの核は大谷に据えていたことだと思う。おそらくは栗山監督からの了承をとりつけ、大事な試合では大谷を投手だけではなく打者としても出場する構想を描いていたのではないか。その構想は夢と消えたが、裏を返せば大谷頼みから脱却するいいチャンス。前に書いた記者会見で小久保監督がベラベラと漏らしていた事前情報も意味のないものとなった。正直言って、大谷の代わりは日本中探してもいないしアメリカに行った日本人メジャーリーガーにもいない。だけど、大谷が離脱したという課題を克服出来れば、日本代表は大谷がいなくても勝てるチームということになって、これまでの代表よりもはるかに強いチームが必ず育つ。とくに大谷世代の鈴木誠也藤浪晋太郎らが活躍すれば、大谷大谷と言われてきた今までの世間の評価に風穴を開けることにより、さらに強い選手となってシーズンの開幕を迎えられれば、所属球団に大きな還元をもたらすことになる。選ばれた選手は大谷離脱を大きなプラスと捉え頑張ってほしい。

同時に小久保監督も大谷が離脱することによって、よりクリアに采配力が問われることになる。これはこれまでの評価を覆すチャンスでもあるわけで、これを糧にチームを一つにするような采配を振るってほしい。先述したが、構想は0からの作り直しとなる。私は大谷がいなくなったその0からの作り直しとなる構想に期待している。

ソフトバンク小久保裕紀が現役を引退した一番の理由は、ホームランが打てなくなったからだと小久保は引退会見で語っていた。なんと潔い言葉だと思った。その小久保が監督になるのだから、現役時代の小久保監督らしい、つねにホームランを狙ったような壮大な野球を見せてほしい。だからこそ長打は期待できないと言ったこの前の発言は残念だった。ホームランを打つことに生きがいを見せた男ならホームランを打つ野球を若い選手に継承してほしいほしいものである。

小久保監督は本番前から致命的なミスを犯している

3月のWBCに向けて、野球日本代表のメンバーが発表された。

すでにメジャーリーガーが大量辞退して小久保監督の人望に疑問が出たり、そもそも選出基準にも異論が噴出したりしているが。私は、今回選出されたメンバーは現状、NPBのベストメンバーと言っていいと思う。

打線は大谷・筒香・山田・坂本・中田・鈴木誠也・菊池といった、これでもかと言った豪華打者陣にメジャーリーガーの青木もついてくる。

投手は、大谷・菅野・則本・石川といった先発4人体制はリスクを伴うが、秋吉・牧田・平野・宮西・増井・松井・岡田という強力な中継ぎ陣がバックアップについている。

選手だけで見れば、これで負けたら仕方ない陣容は揃ったと思う。

しかし、選手の選出よりも、いざ本番に臨むうえで小久保監督は、すでに致命的なミスを犯している。

それは、小久保監督があまりにもベラベラと今後の起用方針をマスコミに漏らし過ぎたという点である。

 

侍J27人決定 小久保監督「先発投手は大谷、菅野、則本、石川を考えている」(スポニチアネックス) 

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――大谷の起用は。

 「基本は投手。日程的にどこで野手としての起用ができるかは、日本ハム、栗山監督と話し合っていきたい。まずは先発として与えられたイニングを抑えてほしい」

 

――打線の軸は。

 「中田はプレミア12でも勝負強さが際立っていた。筒香はここ2、3年の逆方向にも強い打球が打てる。思う存分、発揮してほしい」

 

――抑え候補は。

 「経験でいったら平野か松井だが、その時の調子のいい選手を使うことになると思います」

 

――先発投手は誰を想定しているか。捕手の起用法は?

 「先発投手は大谷、菅野、則本、石川を考えている。捕手はその投手に合った起用を考えている」

 

と、これから代表キャンプ・強化試合とまだ本番まで時間があるのにも関わらず、大谷の起用法から打線の軸、抑え候補、あげくの果てには先発投手までマスコミにバラしてしまった。

本当に小久保JAPANは勝つ気があるのか?と言わざるを得ない。

プレミア12で継投失敗してマスコミに袋叩きにされて懲りて、マスコミに何から何まで話してしまえば楽になるとでも思っているのか?

楽になったのは小久保監督ではなく、日本と戦うことになる他国のスコアラーだ

小久保監督が手の内をなにからなにまで明かしてくれて、日本対策の手間がさぞ省けたことだろう。

上にあげた小久保監督への質問はすべて正直に回答する必要はなかった。

大谷の起用法はこれから栗山監督と相談とだけ言えばいいのに、わざわざ投手中心で使うと敵国にバラす必要性はどこにもない。打線の軸はこれからキャンプや練習試合でじっくりチェックして決めればいいし、とくに投手中心の野球と言いながら一番大事な先発と抑えをバラしてしまったのは致命的すぎる。

こういう相手に「俺グーだすからお前パーだせよでも負けないよ」みたいなやり方では、1次リーグから敗退する可能性がある。

1次リーグは悠々3連勝で、勝負はアメリカ行きがかかる2次リーグだ。と心のそこのどこかで小久保監督は思っているだろうが、そうした舐めた考え方はトッププロが大勢集まる代表なら、簡単に足元を見られてしまうだろう。

それから小久保監督はこうも言った。

 

――投手中心に守備で勝っていくということですが、打線についてはどう考えていますか?

 

 東京ドームが会場となりますが、長打はそれほど期待できないと思います。どちらかというと長打を期待するというよりは一つの塁を確実に進めていく、走塁含めてそういう野球をしていきたいと思います。

 

東京ドームで長打はそれほど期待できないと思います。は聞き捨てならない発言だ。

これを聞いた筒香山田大谷中田坂本鈴木誠也はどう思うだろうか。

とくにホームランか三振の場面で結果を残し続けてきた筒香と中田には「東京ドームが会場だけど長打はそれほど期待できない」発言は胸に響いたことだろう。

いったいこれだけの重量級の打者が揃ったのにもかかわらず、東京ドームで長打が期待できないでは、話にならない。この発言には小久保監督の監督としての素質を疑った。まず一番に試合で期待するのは筒香の特大ホームランや中田の一発ではないのか?

山田だって日本シリーズで3打席連続ホームランを放ってるし、大谷はこないだ東京ドームの天井にぶち当てた。坂本の勝負強さは末恐ろしく、鈴木誠也カープが優勝を決めた試合で2打席連続ホームランを成し遂げた強心臓だ。それだけのメンバーが揃って長打が期待できないとか言っちゃう小久保監督は本当に去年のプロ野球を見ているのか?打者のやる気を本番前から下げるような発言はやめてほしいものだ。事実こないだの強化試合は打線が打ちまくらなければ負けていた試合である。小久保監督はまたネットで叩かれまくるところを打者に救ってもらったのにもかかわらず塩を塗りつけるような発言でなんと恩知らずな監督だろうか。

おそらくこの発言の趣旨には「俺がハッぱをかけて発奮させてやろう」的なニュアンスだろうが、長打が期待できないでは、プライド高きトッププロの選手たちでは発奮するどころか、俺たちのどこが期待できないんだろうと疑心暗鬼に陥り監督に不信感を募らせるだろう。トッププロの選手には上から目線の発言はまったくもって不必要だ。

長打に期待できない小久保監督はまず1人1人の選手に期待することからはじめるべきではないか?

投手中心の守り勝つ野球と小久保監督は言ったが、これもメキシコ戦やオランダ戦で大炎上した投手陣の奮起を促すような方針にしか見えない。心のどこかでは最後は打者に頼らざるを得ないと思っているだろう。

このように、 小久保監督の発言には、言葉の節々に、選んだ選手に期待を寄せてるような印象はまったくもって受けず。選手の起用法や先発投手や抑えを誰にするかという記者の質問にはベラベラと正直に種明かしをするくせに、肝心の選手に対して自分の考えを述べるところではまわりくどい表現を使って正直に話そうともしない。

まず采配よりも選手とコミュニケーションを積極的にとるところから初めてほしいと思った次第である。

小久保監督には本番前から心底呆れ果てたが、私は日本代表の世界一を切に願っている。

イチローの決勝タイムリーヒットをテレビで見ていた大谷世代がイチローが立った舞台に足を踏み入れようとしている。なんと素晴らしい話だろうか。また次の世代にあの感動を目に焼き付けてもらいたいものである。